中瀬研究室

こんにちは、東京科学大学科学技術創成研究院ゼロカーボンエネルギー研究所、福島復興・再生研究ユニット兼務の中瀬正彦と申します。このたび2023年4月1日より、お世話になった竹下健二先生(名誉教授、前ゼロカーボンエネルギー研究所所長)の元から独立し、ラボを運営することとなりました。中瀬研究室をよろしくお願いいたします。

中瀬研究室では、原子力化学工学をベースに、研究テーマを展開しています。数ある研究テーマは、大きく分けて以下の4点に集約されます。

①新しい原子力エネルギーシステムの構築(革新的原子炉、再エネと協奏したシステム)
②核燃料サイクル(サイクル統合化、再処理・バックエンド)
③福島復興・再生研究(廃棄物、デブリ)
④アクチノイド化学

実験をベースに、化学計算、機械工学計算、化学工学計算を駆使し、多様なアプローチで取り組んでいます。実験としては、抽出剤、吸着剤を研究室内で合成し、その物性評価(マテリアルサイエンス)、性能評価、アプリケーション化研究(工学適用)を展開しています。また、多数の共同研究者と連携しているほか、主に学外の実験施設で放射性同位元素等を用いた実験を展開しています。学外実験施設も積極的に活用している点が大きな特徴です。

原子力はたくさんの分野からなる巨大な工学体系であり、特にそのシステム研究には、多様な視点が必要です。一つのパートを突き詰めることも重要ですが、特に核燃料サイクル研究ではサイクルの一部だけを突き詰めても全体最適化がなされません。したがって、持てる知見と研究背景を総動員しながら、多角的にアプローチしています。また、産官学の連携も必要で、様々な関係者へのヒアリングによる課題共有、議論を積極的に行っています。このような取り組みにおいては、研究者としての異分野間コミュニケーション能力も重要となります。このような取り組みを行っている研究室は少ないと思います。

原子力研究以外にも様々な研究に取り組んでいます。原子力にしかない分野というのは実は極めて少なく、例えば再処理研究は”分離”に関する研究であり、都市鉱山からのレアメタル回収、環境からの汚染物質除去、そのメカニズム研究は、むしろ原子力以外の分野でも極めて重要です。

研究以外にもいかに人生を充実させるか、QOLの向上、ワークライフバランスも最近極めて重要と考えるようになりました。少しでも無理なくクリエイティブに活動できるように、研究室のDX化にも取り組んでいます。

社会的責任、教員・東工大に課せられた使命を果たせるよう、研究、教育活動に取り組んでいきます。

2023年4月1日　中瀬正彦